映画を観て、想うこと。

『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』を観て。

ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー Rogue One: Star Wars Story, 2016
監督ギャレス・エドワーズ(Gareth Edwards)

 

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"Rebellions are built on hope."
「反乱軍は希望を信じて戦う。」

 

遠い昔、はるかかなたの銀河系で...

銀河を圧政により支配する銀河帝国軍、彼らは遂に究極の兵器を開発する。惑星をレーザー一撃で破壊する威力を持つ大型宇宙要塞、その名も"デス・スター"。抵抗する反乱軍にとっては何としても破壊せねばならないその兵器には、開発者により密かにある欠陥が仕込まれていた。デス・スターの開発者である帝国軍科学者ゲイレン・アーソ(マッツ・ミケルセン)は一人娘のジン・アーソ(フェリシティ・ジョーンズ)に、兵器破壊のカギ、銀河を救う希望を託す。託されたジンは反乱軍と共に、デス・スターを破壊するため、その設計図を追うのだった。

 

"Save the rebellion! Save the dream!"
「反乱軍を救え。夢を救え。」

 

映画史上最も成功を収めたスペースオペラスター・ウォーズ。シリーズ初のスピンオフ作品である本作が描くのは、現時点でエピソード1~9まで公開されている本筋の物語における『エピソード4/新たなる希望』(1977年公開)の直前、劣勢を強いられていた反乱軍がいかにしてその"新たなる希望"を手にしたかが明かされる。その裏にあったのは、これまで語られてこなかった名もなき戦士たちの決死の奮闘。エピソードの狭間に埋もれていた栄光が明かされる。

 

"I'm one with the Force, the Force is with me."
「我はフォースと共に、フォースは我と共に。」

 

"フォース"、スター・ウォーズの世界においては欠かせないこの概念。正義の守護者であるジェダイの騎士たちが使う不思議な力のことだが、本作にはジェダイは登場しない。にもかかわらず、本作には"フォース"という言葉が何度も登場する。改めてこの"フォース"という言葉、概念の強さに魅せられてしまう。反乱軍の戦士たちは、自らは使いこなせない力であるはずなのに、この概念を信じて戦い続ける。彼らにとって"フォース"は希望の象徴なのである。反乱軍は希望を信じて戦う、この希望とはまさに"フォース"のことなのだ。

 

"Do you think anybody's listening?"
「誰か受け取ったかな?」

"They do. Someone's out there."
「ええ。誰かに届いてる。」

 

本作の見どころは反乱軍と銀河帝国の「戦争」の描き方にある。これまでのスター・ウォーズのような華やかさは抑え目で、それよりも戦争というテーマの泥臭さや白兵戦に倒れていく戦士たちの哀愁が印象に残る作品である。忘れてはならない、このサーガは戦争映画なのである。ここで改めて考えたい。反乱軍は何と戦っているのか?銀河帝国の代名詞ともいうべき二つの大敵、それがデス・スターダース・ベイダーである。どちらも本作には恐怖の象徴として登場する。

デス・スターの恐ろしさは、一発で惑星を破壊する脅威にある。効力を発揮した後、それが惑星にもたらす効果はおぞましい。宇宙からの目線に立てば、音もなく衝撃波の波が惑星を覆い徐々に破壊されていく様子がゆっくりと続き、攻撃を受けた惑星からの目線に立てば、地平線が轟音と共にあっという間に消えていく。まさにその存在は「逆らうものは一撃で葬り去るぞ」と言わんばかりの銀河を支配する帝国の最終兵器である。

そしてもう一つが、何と言っても、暗黒卿ダース・ベイダーの恐ろしさ。少ない登場時間でも、やはりとんでもない存在感を放っている。特に注目すべきはラスト5分の大立ち回り、思わず降伏してしまいたくなるほど絶望的な強さである。

 

"Rogue One, may the Force be with you."
「ローグ・ワン、フォースと共にあらんことを。」

 

脚光を浴びる事象には必ず縁の下の力持ちたちの活躍がある。この作品はそんなアンサング・ヒーロー(unsung hero)たちにスポットライトを当てることで、「表舞台に立っている人だけじゃないんだぞ」と言ってくれている気がする。称えられるべき人たちは他にもいるんだなぁ。

  

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さて、次は何観ようかな。