映画を観て、想うこと。

『三十四丁目の奇蹟』を観て。

三十四丁目の奇蹟』 1947
【原題】Miracle on 34th Street
【監督】ジョージ・シートンGeorge Seaton

 

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"Mine? Kris Kringle. I'm Santa Claus. Oh, you don't believe that, do you?"
「私かね?クリス・クリングル。サンタクロースだよ。なるほど、信用してないようだね。」

 

クリスマス商戦で賑わうニューヨーク、マンハッタン34丁目にある大型百貨店・メイシーズ(Macy’s)の仮装サンタとして雇われた老人クリス・クリングル(エドマンド・グウェン)は、たちまちの内におもちゃ売り場の人気者になる。彼は自身が本物のサンタクロースであると主張するが、当然誰からも信じてもらえず、遂には精神病棟に入れられてしまう。そんな彼を救おうとする弁護士のフレッド(ジョン・ペイン)はクリスの弁護を買って出て、遂には世論を巻き込んだ裁判に発展してしまう。果たしてクリスは本物のサンタクロースなのだろうか。

 

"I intend to prove that Mr. Kringle is Santa Claus."
「私はクリングルさんがサンタクロースであることを証明してみせます。」

 

今年もまた特別なシーズンが到来した。子ども達にとっては夢のような季節だ。欲しいものを胸に、サンタさんに手紙を書く子どもたち、クッキーとミルクをツリーの横に用意する子どもたち、靴下を枕元に置いて眠りにつく子どもたち、サンタさんに一目会おうと徹夜を試みる子供たち(あの年頃の子供たちって夜更かしできないよね)。彼ら/彼女らのキラキラした想いとは裏腹に、大人たちにとっては少しせわしない季節かもしれない。本作はそんな大人たちにこそおすすめしたいクリスマス映画だ(サンタさんが裁判にかけられてしまう法廷劇モノクロ映画、子どもたちにはもうちょっと大きくなってから観てほしい)。

 

"I think we should be realistic and truthful with our children. And not have them growing up believing in legends and myths like Santa Claus, for example."
「子供にウソを教えるのはよくないと思うの。サンタのような伝説やおとぎ話を信じさせることもね。」

 

クリスマスシーズン、この季節になると全世界のご家庭の親御さんはお子さんからのある疑問と向き合っているのではないか。「サンタさんって本当にいるの?」という疑問と。本作に登場する少女スーザンは(現実主義者の母親の教育方針のため)幼くしてすでにサンタクロースの存在を信じていない。そんな達観したおませな女の子が純真なクリスの心に触れて変わっていく様は、観ていて温かい気持ちにさせてくれる。

 

印象的なシーンがある。オランダから養子としてもらわれてきた女の子がおもちゃ売り場を訪れるシーンだ。英語が話せない彼女にクリスはオランダ語で話しかけてあげる。その瞬間、沈んでいた女の子の表情がパッと明るくなる。欲しいものが手に入ったときよりも、願い事が叶ったときよりも、サンタさんの存在を信じさせてくれるような美しいシーンだ。

 

"Christmas isn't just a day. It's a frame of mind."
「クリスマスはただの日ではありません。心の持ちようなのです。」

 

子どもたちの疑問にお答えしたい。

疑問:
「サンタさんって本当にいるの?」

答え:
「いるよ!」←この部分は声を大にして。
「だって、お父さんとお母さん、みんなのために必死に頑張ってるじゃない!サンタさんは人じゃない!人の心/気持ちなんだよ!」←この部分は声に出さず表情で訴えましょう(笑)

大切なのは、特別な日を特別な気持ちで迎えることなのではないか。

 

友人からクリスマスカードが届いた。ご家族の写真が印刷されたカードに直筆のメッセージが書かれていた。自分にとって何よりのクリスマスプレゼント、特別な気持ちになった。そんな友人とそのご家族に(僭越ながら)この記事を贈らせていただきたいと思います。メリークリスマス。

 

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さて、次は何観ようかな。