映画を観て、想うこと。

拝啓、仕事と子育てに奮闘するあなたへ。

入梅の候、相変わらず慌ただしい日常をお過ごしのことと思います。日頃より仕事だけでなく、子育てにも奮闘するあなたに向けて、どうしても敬意を表したく、一筆認めさせていただきました。

 

「充実している」という表現では到底片づけられないほど、あなたは日々のタスクをこなすことに追われ、それでも何とか一日一日を進み続けていると拝察いたします。時には、急な家庭の都合で仕事を早く切り上げざるを得ない日や、残ってしまった仕事のタスクを処理するために休日の時間を割かなければならない日もあるのではないでしょうか。

 

あなたはこの文章をどこで読まれているのでしょう。朝お子さんを保育園に送った後の通勤電車の中、仕事の昼休み、急いでお迎えに向かう電車の中、あるいは一日が終わりクタクタになって一息つくリビングでしょうか。きっとあなたの過ごす目まぐるしい日々には、落ち着いて読書をしたり、映画を観たりする時間は無いのかもしれません。

 

でも、そんなあなたにこそ紹介したい映画があります。『マイ・インターン』という作品です。中々落ち着いて映画を観る余裕を作るのは難しいかもしれませんが、どうか2時間を捻出いただけたら幸いです。後悔はさせません。きっとあなたに必要な時間になると思います。いや、本作は映画を観る余裕が無いあなたにこそ観ていただきたい一本なのです。

 

マイ・インターン』 2015
【原題】The Intern
【監督】ナンシー・マイアーズ(Nancy Meyers)

 

アン・ハサウェイ演じるファッション企業の若きCEOジュールズと、リタイアし妻に先立たれてもなお前向きに生きようとジュールズの企業でシニアインターンとして働き始めるロバート・デ・ニーロ演じるベン、この二人の掛け合いに励まされる一作です。

 

本作には観る人を前向きにしてくれる名セリフがいくつも登場します。中でも、ベンが説く「ハンカチを持ち歩く意味」には唸ってしまいます。利他の精神、誰かのために何かをしてあげたいという心構えは、自分も他人も幸せにします。

 

意識していないと思いますが、あなたはすでにこれを実践しているのではないでしょうか。お子さんのため、家族のため、同僚のため、友達のため、両親のため、気づけていないだけで、あなたは日ごろからあらゆる他者のために行動していると思います。まずはそのことを忘れずに、たまにはご褒美もあげつつ、自分自身を褒めてあげてください。

 

仮に、本作を観賞できたとして、観終わった後、きっとあなたは、「ベンのような人がいてくれたらなぁ」と思うかもしれません。確かに、人生経験豊富で、懐が深く、仕事が出来て、ユーモアのセンスが抜群な紳士は、例えロバート・デ・ニーロでなかったとしても、喉から手が出るほど欲しい人材でしょう。

 

でも、ベンは決して妖精のような存在ではなく、周囲を見渡せば、きっとあなたの周りにもいると思います。ジュールズが本作でしたように、「心を開いて」、「感謝の気持ちを持って」、「頼る」ことで、ベンはあなたの日常にも現れると思います。

 

そして、忘れてはならないのは、あなたの周りの人もあなたと同じく、精神的支柱を求めているということです。あなた自身が誰かのベンになることだってできるということも、忘れないでください。「情けは人のためならず」、善行はきっとあなたに返ってきます。

 

頑張っている人は報われるべき、常日頃そう思っています。もしあなたが「報われていないなぁ」と感じているのであれば、あなたの頑張りを見て、感謝している人が必ずいるということに気付いてほしくて、お手紙を書きました。

いつも本当にありがとうございます。お疲れ様です。

お互い、身体にだけは気を付けて、引き続き頑張っていきましょう。

 

“You’re never wrong to do the right thing.”
「正しい行いは迷わずやれ。」

 

 

敬具