映画を観て、想うこと。

『ライオン・キング』を観て。

ライオン・キング The Lion King, 2019
監督ジョン・ファヴロー(Jon Favreau)

 

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“Everything that light touches, is our kingdom.”
(「太陽が触れるもの全てが、我々の王国だ。」)

 

果てなく続くサバンナの大地を太陽が金色に照らし、多種多様な動物たちが共存する王国、プライドランド。そこに君臨するライオンの王ムファサのもとに誕生した王となる宿命を背負う王子シンバ。早く王(おとな)になりたい好奇心旺盛で無鉄砲なシンバに王の何たるかを諭すように教えるムファサ。父の背中を追い、いつの日か父のような立派な王になることを誓うシンバだったが、そんな平和なプライドランドでの生活は、ムファサの弟スカーの謀略により一変する。父ムファサを殺され、プライドランドを追放されたシンバは、絶望の中でミーアキャットのティモン、イボイノシシのプンバァと出会う。新たな友人より教えられた「ハクナマタタ(問題ない)」のモットーに共感し、心の傷を癒しつつ青年期をジャングルで過ごす。ある日、自分が去ったあと、スカーが統治するプライドランドの実情を知ったシンバは、葛藤の末、戻らないと決めていたプライドランドに帰るのだった。

 

“Everything you see, exists together in a delicate balance. While others search for what they can take, a true king searches for what he can give.”
(「目の前に写るもの全ては絶妙なバランスのもとに成り立っているのだ。皆が自身の欲するものを求める中で、真の王は何を皆に与えられるかを探るのだ。」)

 

長編アニメーションの大ヒット、ミュージカルのロングランを経て、ついに実写映画化されたディズニー映画を代表する本作は、動物たちはもちろん、小石の1つ、草の1本まで全てがコンピューターの中で制作されたフルCG映画だ。監督は『アイアンマン』シリーズ(自身も出演している)のジョン・ファヴロー。CG技術に精通されているだけあって、映像はリアルさが極限まで追求されており、まるでサバンナの動物たちの様子を実際に覗いているようだ。登場するキャラクターたちは喋る動物たちだが、感情が人間のように表情に出るような擬人化された演出はなく、変な不自然さを感じずに楽しむことができた。コンピューター技術でここまでの作品が作れるようになったのかと驚かされる。

 

“Life’s - not fair -is it my little friend?”
(「人生は、不条理だ、そう思わないか?」)

 

ディズニー映画らしく、子供たちに向けたたくさんのメッセージや印象的なセリフが多い本作。だが、今回個人的に一番響いたのはこのセリフだった。映画の序盤、王ムファサの弟スカーが、静かな口調だがハッキリと発するこの言葉は、キレイごと抜きの正論。弱肉強食の厳しい動物界を彷彿とさせる。この言葉が冒頭で登場するから、その後の希望に満ちた言葉たちが一層胸に響く。実は『ライオン・キング』という物語に触れたのは本作が初めてだった。アニメーションもミュージカルも観たことがなかったが、それでもあの代表的な2つのメッセージは知っていた。”Circle of Life”(「生命の輪」の意)、そして”Hakuna Matata”(スワヒリ語で「問題ない」の意)。本作を通して、ディズニーが子供たちに伝えたかったメッセージはやはりこの2つだろう。

 

人生は不条理なサバンナだけど、どんなに努力しても手に入らないものがある弱肉強食の世界だけど、一人一人が大きな輪の一部としての役割を担っていると信じて、「ハクナマタタ~」と歌って乗り切っていきましょう、と・・・このメッセージ、子供たちよりも大人たちに響くかもね。

 

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さて、次は何観ようかな。