映画を観て、想うこと。

『ギフテッド』を観て。

ギフテッド Gifted, 2017
監督:マーク・ウェブ(Marc Webb)

 

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“Well, just dumb her down into a decent human being. Everybody wins.”
(「まあ、バカでも普通に育って欲しい。それでいいじゃないか。」)

 

アメリカ・フロリダ州に住むフランク(クリス・エヴァンス)は、自殺した姉の娘であるメアリー(マッケンナ・グレイス)と暮らしていた。メアリーは生まれながらにして高度な知的能力を持つ”ギフテッド”、数学の天才だった。同じく数学の天才であった姉と交わした「メアリーを普通の子に育てる」という約束を守るべく、近所に住む中年女性のロバータオクタヴィア・スペンサー)の協力も得ながら、普通の学校に通わせ、普通の子供と変わらぬしつけをしていた。そんなある日、フランクの前に現れたのはフランクの母親でありメアリーの祖母であるイヴリン(リンゼイ・ダンカン)。天才児に相応しい教育を望むイヴリンと、メアリーの教育方針で対立したフランクは、ついには実の母親とメアリーの親権を巡って裁判で争うことになる。

 

 “I have an opinion. But that’s my opinion. I could be wrong. So why would I screw up yours? Use your head. But don’t be afraid to believe in things either. ”
(「俺の考えはあくまで俺の考えだ。間違っている場合もある。お前に押し付けたくない。自分で考えろ。でも、信じることを恐れないでほしい。」)

 

本作の原題にも邦題にも使われている”gifted(ギフテッド)”という言葉、「神から贈り物(gift、才能)を授かった者」という意味だ。努力で知能を身につけた人ではなく、先天的に知能の高い人を指す、要は天才のことだ。ギフテッドであるメアリーというキャラクターを通して、本作は「子供にとっての幸せってなんだろう?」というテーマを突き付けてくる。裕福な家庭で育てられたら幸せなのか、実の親でなくても自分を愛してくれる人に育ててもらえたら幸せなのか、周りよりズバ抜けて賢くても普通の学校に通うことが幸せなのか。答えはそう単純なものではないかもしれないが、本作を観終わって自分なりに考えた結論は「同じ目線に立って自分を愛してくれて、甘えさせてくれる人、安心できる環境で育てられる」ことが子供にとって一番の幸せなのかなと感じた。人の心は安心を栄養に育つのだと思う。

 

“He's a good person. He wanted me before I was smart.”
(「彼は良い人よ。最初から私を愛してくれてたから。」)

 

ギフテッドの子供も普通の子供も、自分一人では大人になれない。そう考えたら、知性や才能に恵まれるよりも、育ててくれる大人(親)や住む環境に恵まれたいよな、と思った。

 

余談だが、本作を見て知ったのだが、数学界にはミレニアム懸賞問題(Millennium Problem)というものがあるらしい。2000年にアメリカのクレイ研究所が発表した100万ドルの懸賞金がかけられた7つの問題は、2019年現在でまだ1つしか解決されていない。数学者の中には解くために生涯を費やす人もいるとのこと。数学という学問の底知れぬ奥深さを感じた。

 

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さて、次は何観ようかな。