映画を観て、想うこと。

『ジュリエットからの手紙』を観て。

ジュリエットからの手紙2010
【原題】Letters to Juliet
【監督】ゲイリー・ウィニック(Gary Winick)

 

 

“You’re all Juliet?”
「皆さんがジュリエット?」

“Her secretaries.”
「ジュリエットの秘書なの。」

 

ソフィ(アマンダ・セイフライド)は婚約者と訪れたイタリア・ヴェローナで「ジュリエットの家」に立ち寄る。そこは世界中から集まる観光客がジュリエット宛に恋の悩みを手紙に綴り、家の壁に貼り付ける場所として有名な観光名所だった。貼り付けられた手紙一通一通に対して丁寧に返事が書かれていることを知ったソフィは、レンガの隙間に隠されていた50年前の手紙を偶然見つけ、その手紙に返事を書くことになる。クレア(ヴァネッサ・レッドグレイヴ)というイギリス人女性が書いたその手紙への返信により、50年の時を越えて実らなかったロマンスが再び動き出す。

 

“Life is the messy bits.”
「人生は苦労そのものよ。」

 

イギリスの劇作家ウィリアム・シェイクスピアの名作戯曲『ロミオとジュリエット』の舞台となったイタリア・ヴェローナ、そこに実在する恋愛成就の観光名所として知られる「ジュリエットの家」を起点に展開する本作。この場所では実際に「ジュリエットに手紙を書くと、秘書が返事を書いてくれる」という、なんともロマンチックな慣習が受け継がれている(ジュリエットの秘書は全員ボランティアらしい)。

 

物語は主人公のソフィがたまたま見つけた50年前の手紙に、「ジュリエットの秘書」として返事を書いたことから動き出す。50年越しに手紙の返事を受け取り、居ても立っても居られなくなり、イギリスから孫息子のチャーリー(クリストファー・イーガン)を連れてイタリアにやってくるのが本作のもう一人の主人公クレアだ。アマンダ・セイフライドヴァネッサ・レッドグレイヴが演じる2人の恋する乙女がとにかくキュートでチャーミング、2人の名女優の活き活きとした魅力がふんだんに盛り込まれた作品になっている(特にヴァネッサ・レッドグレイヴ、当時73歳とは思えないほど美しい)。

 

“One of the great joys in life is having one’s hair brushed.”
「髪をといてもらうのは人生の喜びのひとつよね。」

 

人生には時として、誰かに背中を押してもらうことが必要な瞬間があるように思う。躓(つまづ)いたとき、立ち止まってしまった時、一人で悩んでいても二進(にっち)も三進(さっち)もいかない時は誰にでもある。そんなと状況を打開できるのは、一人で悩み抜くことよりも、踏み出せない一歩を後押ししてくれる他者からのアドバイスや助言だったりするのではないか。本作でソフィが「ジュリエットの秘書」としてクレアに宛てた「手紙」は正にそんな勇気を生む後押しとなりクレアの人生を大きく変えることになる。物語の終盤に読み上げられるこの手紙、その素敵な言葉は、きっと本作を観る人の背中も押してくれるだろう。

 

“What if?”
「もしあの時。」

 

「もしもあの時・・・」って思ってしまうこと、時々あるよね。でもそんな時、「まだ遅くないよ」、「勇気出して」と言ってくれる人って、ありがたいよね。誰しもがお持ちであろう人生の“What if?”を考えさせられる、微笑ましい一作です。

 

 

さて、次は何観ようかな。