君への誓い The Vow, 2012
監督:マイケル・スーシー(Michael Sucsy)
“My theory is that these moments of impact, these flashes of high intensity that completely turn our lives upside down, actually end up defining who we are.”
(「強烈な閃光を放つ決定的瞬間は、それまでの人生を根底から覆して、自分とは何かを定義づける。」)
幸せな結婚生活を送っていた妻のペイジ(レイチェル・マクアダムス)と夫のレオ(チャニング・テイタム)。彼らの夫婦生活は、ある冬の夜に発生した追突事故により一変する。フロントガラスを突き破って車外まで押し出されたペイジは頭を強く打ち、外傷性脳損傷で病院に運ばれる。一命は取り留めたペイジだったが、目覚めた彼女は直近5年間の記憶を失っていた。5年以内に出会い、結婚していたレオは彼女にとって他人となってしまう。レオとの記憶が一切なくなってしまったペイジに対し、レオは全力で妻の記憶を取り戻そうとする。もう一度、妻の愛を勝ち取るために。
“I gotta make my wife fall in love with me again.”
(「もう一度妻を射止める。」)
実在する夫婦の実話をもとにした物語の中には、妻の記憶喪失という悲劇が生み出す切なさだけでなく、夫婦間、家族間、友人間の人間関係が生み出す優しさや、温もりや、誠実さや、または難しさが垣間見える。特に夫レオの献身には心を打たれる。過去の記憶全てが無くなってしまったのではなく、自分と出会い過ごした日々の記憶だけが無くなってしまった妻をもう一度振り向かせる、その一心であらゆる形で妻に尽くす一途で優しく愚直なレオの姿、チャニング・テイタムの演技には男女を問わずときめきを覚えるはず。
人は数年で今とは全くの別人になる/なれるのだと気づかされる。妻のペイジは事故から遡って5年間の記憶を失ってしまうが、その間に愛する人、支持する政治家、聞く音楽の趣味、キャリア/進路、生活習慣、あらゆることが変わってしまっていた。彼女の視点に立つと、ぞっとする。事故から目覚めたら知らない人と結婚していて、家族とは離れて暮らしていて、知らない人たちが友人だと名乗り心配してくれて、自分が思いもしなかった職業についている。ある意味、事故のトラウマより恐ろしい。
“I hope one day I can love the way that you love me.”
(「私もいつかあなたみたいに人を愛したいわ。」)
“You figured it out once. You’ll do it again.”
(「愛せるさ。愛してもらってたから。」)
人は人生に訪れる「決定的瞬間」の一つ一つで出来ている。大切な人との出会いもその一つだ。たとえその人との記憶が無くなっても、たとえ忘れられても、何回でも好きになれる、そんな人と巡り会えた人は幸せだね。
さて、次は何観ようかな。