映画を観て、想うこと。

『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』を観て。

シェフ 三ツ星フードトラック始めました Chef, 2014
監督ジョン・ファヴロー(Jon Favreau)

 

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“Look, if you bought Stones tickets and Jagger didn’t play “Satisfaction”, how would you feel?”
「いいか、ストーンズローリング・ストーンズ)のライブに行ってジャガーミック・ジャガー)がサティスファクションを弾かなかったら、どう思う?」

 

ロサンゼルスにある一流レストランで総料理長を務めていたカール・キャスパー(ジョン・ファヴロー)は、作りたいメニューを作らせてくれないオーナーのリーヴァ(ダスティン・ホフマン)と、自分の作った料理を酷評した大物料理評論家のラムジーオリヴァー・プラット)との口論の末、店を辞めることになる。威勢よく辞めたはいいが、次の当てもなく途方に暮れていたカールに、元妻イネズ(ソフィア・ベルガラ)はフードトラックによる移動販売をしてはどうかと勧める。最初は乗り気でなかったカールだったが、イネズの故郷マイアミで食べたキューバサンドの美味しさに感銘を受け、「これは売れる!」と次第にやる気になる。そして遂に、おんぼろフードトラックを改装し、相棒のマーティン(ジョン・レグイザモ)と息子のパーシー(エムジェイ・アンソニー)と共にマイアミ(アメリ東海岸)からロサンゼルス(アメリカ西海岸)に向けて、大陸横断フードトラックの旅を敢行するのだった。

 

“You think people would like this kind of food back home? You think people would like it?”
「これ、ロスでもウケると思う?人気出るかな?」

“Yeah, it’s real food. Why not?”
「もちろん、だって本物の味だもの。」

 

ジョン・ファヴローが監督・脚本・制作・主演と一人四役をこなして完成させた本作は、何でもできる天才が「楽しみながら作った映画」なんだなと伝わってくる、とにかくあらゆる意味で「楽しそう」な作品に仕上がっている。タイトルからもわかる通り、料理を題材にした本作にはふんだんにその「楽しそう」な魅力が詰め込まれている。印象的なのは、完成した料理もさることながら、それを作る過程の描き方が見事である。食材を切り、焼き、盛り付ける、シェフの所作一つ一つが美しい芸術品のようである。

 

“It hurts!”
「傷つくだろ!」

 

本作で描かれているもう一つ印象的なものがある。SNSだ。主人公のカールが働いていたレストランを辞めるきっかけになるのがSNSの批評ならば、フードトラックによる再起を後押ししてくれるのもまたSNSの口コミだ。最近はSNS上の言葉で人が人を傷つける痛ましいニュースをよく耳にするが、本来は楽しいことに使う楽しいモノであるはずだ。モノは使いよう、あらゆるモノに対して言えることだが、正しく、楽しく使えば人々は幸せになるに違いない。モノのせいではなく、やはり、それを使う人次第なのだろう。

 

“I get to touch people’s lives with what I do, and it keeps me going and I love it. And I think if you give it a shot you might love it too.”
「料理はパパとお客さんを繋げてくれる、大好きなものだ。お前も本気でやればわかるかもしれない。」

 

何かをしたいと思わせてくれる映画は素晴らしい映画だと思う。この映画はまさにそうだ。前向きな気持ちにさせてくれる、好奇心と食欲をこれでもかと刺激してくれる、そんな「星、三つです!」な映画です(※空腹状態での鑑賞はお控えいただいた方が良いかもしれません(笑))。

 

“This is “Empingao”.”
「これは絶品(エンピンガーオ:スペイン語すごいの意)だ。」

 

というわけで、自分も早速、作中にも登場したクロックムッシュを作ってみた。滅多にしない料理をしてみて思ったのは、料理は段取りとタイミングが命だということ。そして何より、楽しい。

 

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さて、次は何観ようかな。