映画を観て、想うこと。

『きっと、星のせいじゃない。』を観て。

きっと、星のせいじゃない。 The Fault in Our Stars, 2014
監督:ジョシュ・ブーン(Josh Boone)

 

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“There are infinite numbers between zero and one.”
01の間には無限に数字があります。」

 

甲状腺がんを患う17歳の女の子ヘイゼル(シャイリーン・ウッドリー)は、同世代の女の子のように学校に通えず友達もいない日常を送っていた。そんなある日、ヘイゼルは現状を心配する両親を安心させるべく、嫌々参加したがん患者のサポートグループ(集会)でガス(アンセル・エルゴート)と知り合う。彼もまた骨肉腫を患う、彼女と同じ「病と共に生きる」若者だった。お互いに惹かれあった二人は、好きな小説を勧め合ったり、ピクニックに行ったり、好きな小説家を訪ねてオランダに旅立ったりと、残された時間を意識しつつも懸命に青春を生きるのだった。

 

“I cannot tell you how thankful I am for our little infinity.”
「私はすごく感謝してるの、二人の小さな無限に。」

 

原題にも邦題にも用いられている通り、人は昔から運命を「星(star)」と例えてきた(日本語と英語以外もそうなのかな?)。十人十色の運命がある中で、人は時に過酷な星の下に生まれてきてしまうことがある。病気はその代表的な星の一つだろう。この作品の魅力は、若くして病という運命を背負った主人公二人の姿から、きちんと病の恐ろしさと残酷さを伝えつつも、不思議と悲壮感よりも希望に満ちた世界観が伝わってくる点にあると思う。ヘイゼルの詩的なナレーションと共に、過酷な星の下に生まれた彼らのキラキラした青春の1ページをまぶしく感じる一作だ。

 

“Losing you. That is gonna hurt like hell. But you of all people know it’s possible to live with pain. You just do it.”
「あなたを失う。きっと地獄の苦しみだと思うわ。でも人は苦しみに耐えながら生きることができるわ。あなたが教えてくれたんだもの。」

 

病気を題材にした映画では登場人物が「去り行く側」と「残される側」に分類されることが多い。主人公の二人、ヘイゼルとガスはどちらも病を抱える「去り行く側」だ。彼らには自らの死の他に恐れているものがある。自分たちがいなくなった後の世界について思い悩むのだ。では、彼らのために「残される側」には何ができるのか。やはり、安心させてあげることしかない。「あなたのいない寂しさに耐えながらも、あなたがそうしたように懸命に生きていきます」と。

 

“Funerals, I’d decided, are not for the dead. They’re for the living.”
「お葬式は死者のためのものではなく、生きる者のためのものだ。」

 

このセリフが、ちょっぴり切なくも心に響いた。「残される側」にも、また別の過酷な戦いがあることを忘れてはならない。この作品は「残される側」に立つ人に贈られるべき映画だと思う。

 

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さて、次は何観ようかな。