映画を観て、想うこと。

『ゲット・アウト』を観て。

ゲット・アウト Get Out, 2017
監督ジョーダン・ピール(Jordan Peele)

 

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”Now, sink into the floor.
(「あなたはだんだん床に沈んでいく。」)

 

白人の彼女の実家に招かれる黒人青年のクリス(ダニエル・カルーヤ)。彼女の家に彼氏が行くという事実だけでも誰しもが少なからず心をザワつかせるはずである。それが、彼女が白人で彼氏が黒人、舞台がアメリカとなると、この設定だけで嫌な予感を抱かずにはいられない。しかし、そんな心配に反して、彼は快く白人家庭に招き入れられ、歓迎される。ここから不可解で、不気味で、気味が悪い出来事が次々とクリスを襲う。

 

“What is your purpose in life, Chris?”
(「クリス、君の生きる目的は何だね?」)

 

友人にお勧めの映画を聞いたところ、本作を紹介された。ホラー映画を勧められたことが意外だったが、鑑賞してみて納得。恐怖の煽り方が絶妙なのである。幽霊や怪物ではなく、人間が恐怖を感じる対象であり、物語は急な展開を設けず、序盤にちりばめられた不可解な伏線を後半に回収していく中で観る人に確実な恐怖を植え付けていく。なぜクリスは快く招き入れられたのか、なぜ彼女の実家で出会う黒人たちは様子がおかしいのか、物語が進めば進むほど不気味に感じていることの理由がジワジワとわかっていく。この「はっきとしない不安」が「確実な恐怖」に変わる瞬間が本作の見どころだと思う。

 

観終わったあと、タイトルの「Get Out」には複数の意味があることに気づいた。「出ていけ!」、「消えろ!」、「逃げろ!」、皆さんはどう解釈するでしょう。

 

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さて、次は何観ようかな。