映画を観て、想うこと。

『365日のシンプルライフ』を観て。

365日のシンプルライフ Tavarataivas(英題:My Stuff), 2013
監督(主演):ペトリ・ルーッカイネン(Petri Luukkainen)

 

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「僕はペトリ、26歳、独身、ヘルシンキ在住。幸せを見つけるためにある実験を始めた。」

 

冬のフィンランドヘルシンキ。空っぽの部屋に素っ裸の男性が一人突っ立っている。彼女にフラれ、不幸の渦中にあったペトリ(本人)は自分の部屋に溢れ返ったモノたちを見て、それらが自分を幸福にしてくれているか疑問に思う。そこで、それを確かめるために彼はある実験を行うことを思いつく。彼が自分自身に課したルールは4つ。

  1. 持ちモノを全て倉庫に。
  2. 持って来るのは1日1個。
  3. 1年間続ける。
  4. 1年間何も買わない。

緑色のシャッターが特徴的な貸倉庫に、自分の所有物全てを預けて、1日1個ずつ取り出しながら1年を過ごしていく。

 

「僕はモノに支配されそうだった。部屋はモノだらけだが心はからっぽだった。なぜ不幸なのかを考える場所が必要だ。」

 

多かれ少なから、人はモノに囲まれて生きている。生活に必要なモノ、仕事に必要なモノ、趣味に必要なモノ、モノが無いと人は現代を生きられない。一方、人は余分なモノを抱えてしまいがちだ。「もったいないから捨てずにとっておこう」、「いつか使うかもしれない」、誰しも一度は思ったことがあるはず。人にはそれぞれ幸せに生きるために必要な「モノ」と、幸せに生きるために必要な「スペース」があると思う。余分なものを抱えるということは、自分を幸せにしてくれないモノがこの必要なスペースを占領することになる。断捨離や年末の大掃除は、このスペースを確保するために大切なことなのかもしれない。

 

「持っているモノの多さで幸せは計れない。人生はモノでできていない。」

 

作中に登場するペトリの良き相談相手となっているおばあちゃん。穏やかな口調で、諭すように孫に語りかける彼女のモノに対する考えが胸に沁みる。結局、人はモノを残していくことになる。大切なのはモノそのものではなく、そのモノを使う目的やモノに宿る想いなのだ。現に、ルールに則って1日1個ずつ倉庫からモノを取り出していたペトリは、次第に取り出し方や取り出す目的が変わっていく。おばあちゃんの優しい言葉はペトリの異常とも言える実験と相乗効果を生んでペトリのモノに対する考えを改めていく。

 

所有とは責任でありモノは重荷になる。どんな重荷を背負うか僕は自分で決める。」

 

自分の周りにあるモノたちは自分を幸せにしてくれているのか。自分も一度ペトリのように実験してみようかな。ただ、素っ裸から始められる自信がない。あと、絶対冬には始めないことにしよう。

 

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さて、次は何観ようかな。